近所の駄菓子屋に小銭を握りしめて走り、真っ先に手を伸ばした四角い小さな包み紙。包みを開ける瞬間のワクワク感とともに記憶へ刻まれているのが、ニヤリと笑うあの「黒猫」のパッケージです。駄菓子の王道として世代を超えて親しまれてきた通称「10円ガム」ですが、描かれているキャラクターの正確な名前や出自、さらには歴代の仲間たちの詳細について、正確に覚えている人は意外と少ないのではないでしょうか。
現在でも駄菓子コーナーやスーパーのレジ横で見かけるロングセラー商品ですが、ネット上では「あのキャラクターの正体は何?」「当たりの見分け方は本当にあるのか」「10円ガムが販売終了したという噂は本当?」といった疑問が絶えません。駄菓子文化を支え続ける名作ガムの知られざる歴史とキャラクターの真実、そして現在の流通事情を徹底取材しました。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】- 要点1:黒猫の正体は世界的人気キャラ「フィリックス・ザ・キャット」だが、かつてはオリジナルキャラ「エフ吉」だった時代が存在する。
- 要点2:当たり付きの確率は1箱あたり約10%(60個中当たり5〜6個程度)で、印刷ズレ等の見分け方は製造精度向上によりほぼ通用しない。
- 要点3:販売終了の噂は他社製品との混同であり、現在は原材料高騰による小幅な値上げを経つつも現役で製造・販売が続いている。
【正体を暴く】10円ガムの黒猫は誰?「フィリックス」と幻の「エフ吉」の真相
誰もが一度は目にしたことがある、赤と黄色のパッケージに描かれた黒猫のガム。この駄菓子の正式名称はフィリックスガムであり、製造元は愛知県名古屋市に本社を置く老舗菓子メーカーの丸川製菓(マルカワ)です。
パッケージに君臨するキャラクターの正体は、1919年にアメリカで誕生した世界的なアニメーションキャラクターである「フィリックス・ザ・キャット(Felix the Cat)」です。チャールズ・チャップリンの無声映画時代に一世を風靡し、幸運をもたらす黒猫として世界中で100年以上愛され続けている歴史的な大スターなのです。
しかし、昭和から平成初期を知る駄菓子ファンの間では「昔の猫と今の猫、顔が違わないか?」という鋭い指摘が語り継がれています。実はこの疑問、単なる気のせいではありません。1960年代に発売された初期のパッケージに描かれていたのは、丸川製菓のオリジナルキャラクターで、通称「エフ吉」と呼ばれる別の黒猫でした。当時の大らかな時代背景のなかで誕生したエフ吉でしたが、1980年代後半に著作権管理が厳格化されたことを受け、丸川製菓は米国の権利元と正式にライセンス契約を締結。晴れて本物の「フィリックス・ザ・キャット」が駄菓子のパッケージを飾るようになったという、ドラマチックな舞台裏が隠されています。
【丸川製菓の仲間たち】マーブルガムから動物たちまで!歴代人気キャラクター一覧
丸川製菓が手掛けてきたフーセンガムの魅力は、フィリックスガムだけにとどまりません。駄菓子屋の棚をカラフルに彩ってきた歴代のキャラクターたちを振り返ると、日本の駄菓子文化における豊かなデザイン性が見えてきます。
代表格として外せないのが、丸い粒ガムが4つ入った「マルカワ マーブルガム」シリーズです。特に有名なのがオレンジ味のパッケージに登場するクマのキャラクターで、公式には「マーブルベア」という愛称で親しまれています。愛嬌たっぷりにオレンジを抱える姿は、昭和から令和に至るまで変わらない安心感を醸し出しています。
さらに、グレープ味に描かれた愛らしいチンパンジーや、いちご味のウサギなど、フルーツのフレーバーごとに個性豊かな動物たちがデザインされてきました。また、10円当たり付きガムのラインナップとしては、フィリックスのほかにも以下のような多彩なフレーバーとキャラクターが展開されてきました。
・コーラガム:やんちゃな怪獣やコミカルなキャラクターが描かれた刺激的な人気作
・ソーダガム:爽快な青を基調に、爽快感をアピールするオリジナルキャラ
・ドラえもんガム / 星のカービィガム:子どもたちに絶大な人気を誇る版権キャラクターとのタイアップシリーズ
・妖怪ウォッチガム(当時):社会現象を巻き起こしたタイアップの歴史も
自社オリジナルキャラクターの温かみと、時代を象徴する人気IPの両輪を展開することで、丸川製菓のフーセンガムはいつの時代も子どもたちのハートを掴み続けてきました。