bills 福岡は、那珂川と薬院新川が交差する水上公園のランドマーク「SHIP'S GARDEN」に店を構え、天神エリアの日常に心地よい食の風を吹き込み続けている。オーストラリア・シドニー発のオールデイダイニングとして世界中で愛されるこの名店は、福岡の豊かな食文化と見事な化学反応を起こしながら、いまや街の顔として定着した。
朝日が水面を照らす早朝から、都市の明かりが水辺に揺れる夜まで、ここを訪れる人々の目的は様々だ。再開発「天神ビッグバン」によって刻一刻と姿を変える2026年の福岡において、変わらない居心地の良さを提供するbills 福岡の魅力と、最新の食トレンドを追った。
オーストラリア発。「世界一の朝食」が福岡の水辺で咲かせた花
1993年、シドニーのダーリングハーストに誕生した小さなカフェから歴史は始まった。創業者ビル・グレンジャーが掲げたコンセプトは、新鮮な素材の味をそのまま活かした「ライト、フレッシュ、オーガニック」。飾り立てないけれど、一口食べれば誰もが笑顔になる料理の数々は、瞬く間に口コミで広がり、海外メディアから「世界一の朝食」と称賛されるに至った。
そのスピリットは、東京の表参道や銀座、そしてここ福岡へと確実に受け継がれている。世界各地の店舗ごとに異なるインテリアと、その土地の光や風を包み込む空間設計。都市の活気とリゾートの解放感が交差するこの場所で、人々は日常の少し先にある上質な時間を楽しんでいる。
看板メニュー「リコッタパンケーキ」とスクランブルエッグの真価
billsを訪れる人の多くがオーダーするのが、名物の「リコッタパンケーキ」だ。生地の中にフレッシュなリコッタチーズを贅沢に練り込み、注文を受けてから一枚ずつ丁寧に焼き上げる。表面は程よく香ばしく、中は驚くほどフワフワで軽い。添えられたハニーコームバターがじわりと溶け出し、フレッシュバナナの自然な甘みと絡み合う瞬間は、まさに至福だ。
もう一つの主役が「オーガニックスクランブルエッグ」。生クリームを使わず、厳選された新鮮な卵とバター、少々の塩のみで仕立てる。絶妙な火加減によって生まれるシルクのように滑らかな口当たりは、まさに職人技だ。カリッと焼かれたサワードゥトーストに乗せて味わえば、素材の本質を引き出す料理の奥深さに気付かされる。