2026年春、なぜ「ジップパーカー」が再び街を制覇したのか?ハイブランドの参入と素材革命がもたらした「究極の日常着」の現在地

2026年春、なぜ「ジップパーカー」が再び街を制覇したのか?ハイブランドの参入と素材革命がもたらした「究極の日常着」の現在地

ジップ パーカーは、もはや単なるカジュアルウェアの域を完全に脱した。2026年の東京・原宿や表参道を歩けば、かつて部屋着や運動着の代名詞だったこのアイテムが、洗練されたテーラードジャケットや贅沢なシルクスカートとごく自然に融合している光景に目を奪われる。インフレとサステナビリティへの意識が高まるなか、人々が服に求める条件は「着回し力」と「機能的ラグジュアリー」へと明確にシフトした。

この世界的な流行の背景には、近年加速する気候変動と都市部における寒暖差の激しさも大きく影響している。脱ぎ着が容易で瞬時に体温調整ができるジップ パーカーは、現代の都市生活者が直面するリアルな悩みを解決する最良のプロダクトなのだ。大手アパレルセレクトショップの売上データによれば、今季のライトアウター部門においてフロントジップ型の売上は前年比140%を突破。Z世代からプレッピーな大人層まで、あらゆる世代を巻き込んだ大ブームが巻き起こっている。

脱・野暮ったさ。ダブルジップと重厚スウェット地がもたらしたシルエット革新

かつてのジップパーカーといえば、どこか頼りない生地感や、ジッパーを閉めたときに腹部がぽっこりと出てしまうシルエットが難点だった。しかし、現在のトレンドを牽引しているのは、ヘビーウェイトと呼ばれる450グラム以上の極厚裏毛スウェット生地だ。生地自体にハリがあるため、フードがへたることなく首元に美しい立体感を作り出す。

さらに決定的な役割を果たしているのが「ダブルジップ(逆開ファスナー)」の標準化である。下側のスライダーを少し押し上げてAラインを作ることで、インナーのシャツやTシャツを覗かせるレイヤードテクニックが容易になった。着膨れを防ぎながら腰回りの可動域を広げるこの構造が、ストリートファッションだけでなくドレススタイルの崩しとしても重宝されている。

ラグジュアリーとストリートの境界崩壊:「クワイエット・ラグジュアリー」の主役に

パリやミラノのランウェイでも、ジップパーカーの存在感は際立っている。一見すると無地でシンプルなデザインでありながら、スイス製の高級ファスナーや、超長綿(シーアイランドコットン)を用いた極上の肌触りを誇るハイエンドモデルが続々と登場。ロゴを大々的に押し出す時代が終わり、素材の質感とカットの美しさで勝負する「クワイエット・ラグジュアリー」の潮流に、まさに合致した。

ハイブランドのデザイナーたちは、上質なウールコートのインナーとして、あるいはレザーパンツの相棒としてジップパーカーを再解釈している。スポーティでありながら洗練された緊張感を演出できるバランス感覚こそが、今のファッション感度が高い層を惹きつけてやまない理由だ。

阿部 裕樹
Penulis

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。