永 旺(イオングループの中国・アジア事業)が2026年、かつてない事業モデルの刷新を進めている。景気変動の波が押し寄せるアジア市場において、従来の巨大流通チェーンが見せていた強みは、いまや抜本的な再定義を迫られている。現場で一体何が起きているのか。現地取材で見えてきたのは、単なる店舗改装にとどまらない、流通DXと現場主義の緻密な融合だった。
消費者の財布の紐が固くなる一方で、ライフスタイル志向の購買行動は確実に定着しつつある。こうした中、永 旺 が推し進める「コミュニティ密着型モール」への脱皮は、現地の競合他社からも熱い視線を浴びている。価格競争の泥沼を避け、顧客体験の精度を徹底的に高める戦略が、じわりと実を結び始めているのだ。
中国・香港市場の冷え込みにどう立ち向かうか?現地のリアル
不動産市場の停滞や内需の伸び悩みが叫ばれて久しい中華圏。だが、現地の大型商業施設を歩くと、かつての暗雲を払いのけるような熱気が一部に漂う。
買い手の行動パターンは、2026年から2026年にかけて一変した。「安ければ買う」から「納得できる理由があれば足を運ぶ」へ。この微妙な心理の変化を捉えた企業だけが、2026年の土俵に残っている。現地法人が推し進める店舗再編は、単なる不採算店の閉鎖ではない。地域ごとの所得水準や年齢層にあわせた、極めて細密な店舗フォーマットの再構築だ。
脱・総合スーパー:体験型コンテンツへの大胆な舵切り
「モノを売る売り場」から「時間を過ごす空間」へ。言葉で言うのは容易いが、実行するのは至難の業だ。
売り場面積の3割以上を、ワークショップ、地域の食文化と連動した体験型フードコート、そしてキッズ向けエデュテインメント空間へと転換。ネット通販で完結する買い物をわざわざリアル店舗で行ってもらうための「トリガー」を、各フロアにちりばめた。来店頻度のデータを見ると、リピート率が前年同期比で二桁増を記録した店舗も現れている。