金沢 近江 町 市場は、2026年の今も変わらず北陸の豊かな食文化を象徴する圧倒的な熱気で溢れかえっている。享保6年(1721年)の開設以来、加賀藩の食卓を支える「市民の台所」として300余年の歳月を重ねてきた。早朝7時、潮の香りが漂うアーケードに威勢のいい掛け声が響き渡ると、約170の専門店が立ち並ぶ通路には一気に活気が満ちる。今季は北陸沖での海老や根魚の水揚げが実に好調で、獲れたての鮮魚がところ狭しと店先に敷き詰められている。
朝食に極上の海鮮丼を味わおうと行列を作る旅行者から、夕方の値引きを狙って手押し車を引く地元の主婦まで、行き交う人々の目的は実に様々だ。時代とともに周辺の街並みが近代化するなかで、金沢 近江 町 市場が持ち続ける独特の活気と熱気は、今や日本全国のみならず世界中の美食家を引き寄せている。単なる観光スポットとして消費されるのではなく、魚の目利きから調理法までを店主と直接会話しながら買い込む「対面商売」の文化が今なお息づいている点に、この市場の本質的な魅力がある。
北陸新幹線延伸から2年、変容する「市民の台所」と観光の熱量
北陸新幹線が敦賀まで延伸して2年が経過した2026年、金沢へのアクセスは一段と円滑になり、金沢駅から徒歩約15分という抜群の立地を誇る市場への人流は過去最高レベルを維持している。
週末の午前10時を過ぎる頃には、メイン通路は前を進むのも一苦労なほどの混雑を見せる。地元客からは「昼間は混みすぎて普段の買い物がしにくい」という声も聞かれるが、店舗側は早朝販売の強化や電話取り置きサービスの拡充などで対応しており、観光と日常のバランスを保つ模索が続けられている。
名物「のどぐろ」と「カニ」をめぐる最新の供給事情と価格のリアル
金沢の味覚の代名詞といえば、白身のトロと評される「のどぐろ(アカムツ)」と、冬季の加能ガニ・コバコガニだ。2026年現在の店頭でも、確かな目利きによる極上の個体が所狭しと並ぶ。
特に「のどぐろの炙り串」や「生ウニの食べ比べ」は若い旅行者や訪日客から絶大な支持を集めている。一時は仕入れ価格の高騰が懸念されたものの、地元の仲買人が直接漁港と連携し、鮮度を保ちながら安定供給するルートを固めたことで、納得感のある適正価格での提供が実現している。