オーロラ サンダー アタックをご存じだろうか。80年代のバトルファンタジー黄金期を築き上げた名作『聖闘士星矢』において、白鳥座の青銅聖闘士であるキグナス氷河が解き放つ至高の凍気技である。巨大な氷の結晶とともに相手を粉砕する圧巻の演出は、当時の少年たちの心を一瞬で掴み取った。
原作者の車田正美が描いた重厚な世界観をベースにしつつ、アニメーション業界に旋風を巻き起こした本作だが、劇中で絶大な人気を誇ったオーロラ サンダー アタックの存在感は今なお色褪せない。名優・橋本晃一が吹き込んだ熱い名台詞とともに、なぜこれほどまでにファンの記憶へ刻み込まれたのか。
原作にはないアニメオリジナル?誕生の背景と演出の美学
『週刊少年ジャンプ』の連載で爆発的なヒットを記録した原作漫画において、氷河の主力を担っていたのは「カリツォー」や「ホロドニーソメリ」、そして師匠・カミュから受け継ぐ「オーロラエクスキューション」だった。しかし、東映アニメーションが手掛けたテレビアニメ版では、物語中盤のクライマックスへ向けてより華やかで視覚的インパクトの強い大技が求められたのだ。
そこで生み出されたのが、冷気の旋風と雷光のような衝撃波を合体させた演出である。集英社が刊行した当時の関連書籍や制作スタッフの言葉にもある通り、動きの少ない冷気技をアニメならではの動的なアクションへと昇華させる試みだった。結果として、このアレンジはテレビ画面を通じて全国の子供たちを猛烈に熱狂させることとなる。
圧倒的な威力の秘密とは?絶対零度へ至る凍気と破壊力
この技の真価は、単なる氷結攻撃にとどまらない点にある。両手を掲げて氷の結晶を生成し、一気に解き放つ拳は、並の白銀聖闘士を一撃で凍結・粉砕するほどの凄まじい破壊力を秘めている。声優の橋本晃一による魂の籠もったコールが技の威力をより一層引き立て、視聴者に「絶対に勝てる」という確信を与えた。
技のメカニズムとしては、相手の分子運動を停止させる凍気の密度が極めて高い。後に習得する絶対零度のオーロラエクスキューションへ至る前段階でありながら、黄金聖衣をも凍りつかせる潜在能力の芽生えが、この技の豪快なシークエンスに凝縮されていたと言えるだろう。