かき氷 の シロップ は 全部 同じ 味という噂を、夏の屋台で一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。赤はいちご、黄色はレモン、青はブルーハワイ。色とりどりのシロップが並ぶ光景は夏の風物詩だが、実は定番商品の多くでベースとなる果糖ぶどう糖液糖や酸味料の配合比率はまったく同一で作られている。
子どもの頃から親しんできたあの味の違いはどこから生まれるのか。「目隠しをして鼻をつまむと区別がつかない」と言われる通り、かき氷 の シロップ は 全部 同じ 味であるという真相の背景には、人間の脳が引き起こす極めて巧みな感覚の錯覚が存在する。舌からの情報だけでなく、視覚や嗅覚が複雑に絡み合ってひとつの「味」を作り出しているのだ。
「かき氷のシロップは全部同じ味」説の真相:着色料と香料が引き起こす脳の錯覚といちご・ブルーハワイの秘密
「いちご」「ブルーハワイ」と書かれたシロップのボトル。だが、ラベルを剥がせばその実態は実にシンプルだ。無色透明な甘い糖液に、異なる種類の着色料と香料を加えて演出しているに過ぎない。いちごシロップには赤色の色素と甘酸っぱい果実を思わせるアロマ、ブルーハワイには青色1号と爽快なトロピカルフレーバーが添加されている。2026年に行われた最新のブラインドテストでも、目隠しをして鼻をクリップで固定した被験者の約8割が、いちごシロップを口にして「メロン」や「レモン」と誤答する結果となった。私たちが普段「味」として認識しているものの正体は、舌の味覚芽で捉えた甘味ではなく、脳が合成したイメージなのだ。
五感の視覚と嗅覚が交差する「クロスモダリティ」を認知心理学で解明
なぜ脳はこれほど簡単に騙されてしまうのだろう。この現象は認知心理学の領域で「クロスモダリティ効果(多感覚統合)」と呼ばれ、近年非常に注目を集めている研究テーマだ。視覚から入った「赤い色」という情報が瞬時に脳内で「いちご=甘酸っぱい」という予測を作り出し、そこに鼻から抜ける香料が合わさる。舌から送られてくる純粋な甘味刺激は、脳内で先行した予測データと即座に統合され、「いちご味」というひとつの知覚体験へと変換される仕組みだ。目が捉える色と鼻が捉える匂いを取り除いた瞬間、脳は文脈を失い、単なる甘いシロップであるという現実を突きつけられることになる。