飛良泉の日本酒はまずい?500年続く秋田最古の蔵が放つ真価と口コミ

飛良泉の日本酒はまずい?500年続く秋田最古の蔵が放つ真価と口コミ

室町時代中期、長享2年(1488年)の創業から530有余年。秋田県にかほ市の日本海沿いに蔵を構える「飛良泉本舗」は、現存する酒蔵として東北最古、日本全国でも3番目の歴史を誇る屈指の老舗です。鳥海山からの清らかな伏流水と、昔ながらの手間暇をかけた「山廃(やまはい)仕込み」にこだわり抜くその酒は、地酒ファンの間で不動の地位を築いてきました。

しかし現在、インターネットの検索窓には「飛良泉 まずい」という不穏な関連ワードが浮上することがあります。5世紀以上にわたり愛され続ける銘酒になぜそのような評価が下されるのか。本稿では、伝統の山廃純米酒から、新風を巻き起こす「マル飛」「飛囀(HITOTEN)」までを徹底取材。リアルな愛飲者の口コミや科学的な味覚構造、そして2026年現在の最新ラインナップからその真価を解き明かします。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 要点1:「まずい」という噂の正体は、山廃特有の重厚な「酸味」と近年のフルーティー・淡麗甘口ブームとの味覚ギャップにある。
  • 要点2:伝統の頑固な山廃を守りつつ、26代・27代目が打ち出す「マル飛」「飛囀」など高酸度・モダンクラシックな革新酒が国内外で高評価を獲得中。
  • 要点3:冷酒だけでなく燗酒や肉料理・チーズとのペアリングで真価を発揮するため、飲み手と料理の選び方で満足度が劇的に変わる。

【2026年最新】飛良泉が「まずい」と噂される理由|山廃の酸味と味覚のギャップを解剖

検索エンジンやSNS上で一部に見られる「飛良泉はまずい」「クセが強すぎる」というネガティブな評価。醸造の専門家やソムリエの分析、さらに消費者の試飲データを精査すると、そこには品質の優劣ではなく「味覚の先入観と構造的なミスマッチ」が存在することが判明しました。

最大の要因は、飛良泉の代名詞である「山廃仕込みが生み出す力強い酸度と芳醇なアミノ酸」です。現代の日本酒市場では、マスカットやリンゴを思わせる華やかな吟醸香と、低アルコールで軽快な甘酸っぱさを持つ銘柄が初心者のエントリー層を中心に人気を博しています。そうした淡麗辛口やライトフルーティーな酒を想像して飛良泉の定番「山廃純米酒」を口に含むと、天然の乳酸菌がもたらす重厚なコクとコハク酸のキレに「酸っぱすぎる」「重くて飲みにくい」と拒絶反応を示してしまうケースがあるのです。

また、温度管理の誤りも味覚の誤解を生む大きな原因です。山廃純米酒は冷やしすぎると酸味の角が立ち、米の旨味が閉じてしまいます。本来であれば常温(冷や)からぬる燗(40〜45℃)で花開く芳醇な旨味を体験しないまま、「冷酒で飲んで失敗した」と感じる初心者の声がネット上の低評価を形成しています。つまり、「まずい」という声は飛良泉本来の骨太なクラシックスタイルに対する知識不足や飲み方の不一致から生じているのが実情です。

創業1488年の奇跡|秋田最古の蔵元「飛良泉本舗」が守り抜く山廃仕込みの歴史

飛良泉本舗の歩みは、日本の醸造史そのものと言っても過言ではありません。室町時代の1488年、足利将軍家の時代に廻船問屋として創業し、日本海の荒波と鳥海山に抱かれたにかほ市平沢の地で酒造りを始めました。屋号の「飛良泉」は、「飛び切り良い白い泉」に由来し、江戸時代には北前船の寄港地として栄えた港町から全国へとその名が轟きました。

近代に入り、醸造協会が培養した乳酸を添加して短期間で安全に発酵させる「速醸酛(そくじょうもと)」が主流となる中、飛良泉は「山廃酛(山卸廃止酛)」による酒造りに頑なにこだわり続けました。山廃とは、蔵の中に自生する天然の乳酸菌と酵母を呼び込み、通常の倍以上の時間をかけて強い酒母を育てる極めて高度な技法です。過酷な冬の寒冷地・秋田だからこそ、雑菌の繁殖を抑えながら力強い酵母をじっくりと育て上げることが可能になります。

現在、伝統を守る26代当主・齋藤康尋氏の理念を受け継ぎつつ、27代目となる若き蔵元・齋藤雅昭専務を中心とした新世代のチームが蔵を牽引しています。「頑固な山廃を守る蔵」から「山廃の可能性を世界に拡張する蔵」へと進化を遂げ、伝統と最新醸造科学の融合を進めています。

高橋 健太
Penulis

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。