公開から10年、『テラフォーマーズ』実写映画の失敗から日本映画界が得た教訓と、今なお語り継がれる「あの違和感」の正体
テラフォー マーズ 映画 ひどい――公開から10年が経過した今もなお、ネット上の映画レビューサイトやSNSでこの言葉が検索され続けている。2016年に鳴り物入りで公開された本作は、人気コミックの実写化という高いハードルを越えられず、多くのファンに深い爪痕を残した。三池崇史監督のもと、伊藤英明や武井咲、山田孝之といった豪華キャストが集結したにもかかわらず、なぜこれほどまでに酷評の嵐にさらされることになったのだろうか。
当時の映画館のロビーは、上映終了と同時に困惑と失笑に包まれていたのを今でも覚えている。原作の持つダークでバイオレンスな世界観が、チープなCGとちぐはぐな演出によって崩壊していく様を見て、観客が「テラフォー マーズ 映画 ひどい」と吐き捨てたくなるのも無理はなかった。この作品が残した傷跡は、単なる一作品のコケにとどまらず、その後の邦画界における漫画実写化のあり方を大きく変える契機となったのである。
なぜ噛み合わなかったのか?豪華キャストを無駄遣いしたキャラクター造形
本作の最大の敗因の一つは、キャラクターのビジュアルと演出のミスマッチにある。原作のキャラクターたちは、過酷な運命を背負った熱い人間たちだ。しかし、スクリーンに現れた彼らは、まるで予算の足りないコスプレ大会のようだった。髪型や衣装を原作に忠実に再現しようとするあまり、実写としてのリアリティが完全に失われていたのだ。
演技派として知られるキャスト陣も、この不自然な世界観の中で浮いてしまっていた。過剰なセリフ回しと、状況にそぐわないコミカルな演出。緊迫した火星のサバイバルを描くはずが、どこか学芸会のような軽さが漂う。観客が求めていたのは、極限状態での命がけのバトルであり、安易なキャラクターの記号化ではなかったはずだ。
原作の緊迫感を打ち砕いた「安っぽいCG」とSF設定の限界
火星を舞台にしたSFアクションにおいて、VFX(視覚効果)のクオリティは作品の命運を分ける。だが、本作で描かれた火星の風景や、人類の敵である「テラフォーマー(人型に進化したゴキブリ)」の描写は、お世辞にも一級品とは言えなかった。どこかスタジオのセット感が透けて見える火星の地面、そして緊迫感を削ぐようなテラフォーマーの質感は、観客の没入感を著しく阻害した。
特に、原作読者を恐怖に陥れたテラフォーマーの不気味さや圧倒的な強さが、映画版ではどこかマヌケに見えてしまう瞬間が多々あった。CGのクオリティが追いついていない状態で、激しいアクションシーンを連発した結果、画面全体がチープなゲーム画面のようになってしまったのは痛恨の極みだろう。