ジーン シモンズ 舌——その圧倒的なインパクトは、半世紀以上にわたり世界中のロックファンを挑発し続けてきた。真っ赤なメイクと漆黒の衣装に身を包み、ぬらりと突き出される長い筋肉の塊。ロックバンドKISSの共同創設者でありベーシストのジーン・シモンズが見せるこの仕草は、単なる嫌がらせでも一時の気まぐれでもない。スタジアムを埋め尽くす大観衆の視線を一瞬で奪い去る、計算し尽くされた視覚的兵器だったのだ。
ボーカルのポール・スタンレーと共にバンドを牽引し、2014年には『ロックの殿堂』入りも果たした彼らだが、メディアが長年追い続けてきたのは音楽性だけではない。世界中のタブロー紙や噂話の中で、ジーン シモンズ 舌にまつわる奇妙な怪説は膨らみ続けてきた。実寸にして7インチ(約17.7センチ)を超えるとも言われるその異様な長さは、ファンタジーと狂気が交錯するロック黄金期の象徴そのものだ。
「牛の舌を整形移植した」噂は本当か?都市伝説の真相に迫る
1970年代後半、ティーンエイジャーの間でひとつの奇妙な噂が爆発的に広まった。ジーン・シモンズは自分の舌を長くするために、外科手術で「牛の舌」を移植したという説だ。あまりにも突飛な話だが、当時は本気で信じる者が後を絶たなかった。ネットが存在しない時代、噂話は口コミだけで世界中に拡散したのである。
結論から言えば、この整形噂は完全なデマである。シモンズ本人が自伝や数々のインタビューで明言している通り、彼の舌は100%天然の肉体美に過ぎない。幼少期、自分が他の子どもたちよりも明らかに長い舌を持っていることに気づき、鏡の前で筋肉を動かす練習を重ねたという。医学的にも人間の体に動物の組織を縫い付けるような移植は当時不可能であり、彼の舌は天から授かった稀有な身体的特徴だったのだ。
血を吐き火を吹き鳴らす悪魔!パフォーマンスアートとしての視覚革命
シモンズの舌は、単に見せつけるためだけに存在したわけではない。『デトロイト・ロック・シティ』などの名曲で唸りを上げる重低音ベースラインと共に、彼の舌は劇的なステージ演出の核を担っていた。ベースソロの最中、不気味な照明の中で口から血(劇用の甘いシロップ)を流し、白目を剥いて舌を高速で振るうパフォーマンス。それは音楽ライブの枠を超えた、極上のパフォーマンスアートだった。
70年代のハードロックシーンにおいて、視覚的な刺激は音楽と同じくらい重要視され始めた。後続のヘヴィメタルバンドたちがこぞって過激なビジュアルを取り入れた背景には、KISSが開拓したショーマンシップの存在がある。火を吹き、空を飛び、血を吐きながら舌を突き出す悪魔の姿は、観客の脳裏に消えないトラウマと興奮を焼き付けた。