なぜビッグベンと呼ぶ?ロンドン時計塔の真実と2026年最新観光ガイド

なぜビッグベンと呼ぶ?ロンドン時計塔の真実と2026年最新観光ガイド

イギリス・ロンドンの空に重厚な鐘の音を響かせる、世界で最も有名な時計塔「ビッグベン」。テムズ川のほとりにたたずむその荘厳な佇まいは、英国の歴史と民主主義の象徴であり、ロンドンを訪れる世界中の旅行者を魅了し続けています。

しかし、一般的に親しまれている「ビッグベン」という呼び名は、実は時計塔全体の正式名称ではありません。5年以上に及ぶ歴史的な大規模改修工事を経て、本来の鮮やかな色彩を取り戻した現在の姿や、知られざる命名の背景、そして旅を何倍も豊かにする鑑賞ポイントまで、現地取材の視点から詳しく紐解きます。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 要点1:時計塔の正式名称は「エリザベスタワー」であり、「ビッグベン」は塔内に吊るされた巨大な大時鐘の愛称。
  • 要点2:総額8,000万ポンド規模の大改修を終え、文字盤の針や枠はヴィクトリア朝当時の鮮やかな「プルシアンブルー」へと完全復元されている。
  • 要点3:内部見学ツアーの予約動向やベスト撮影スポット、日没後のライトアップ時間まで、2026年の観光に必要な実用情報を網羅。

【名称の真相】「ビッグベン」は愛称だった!知られざる正式名称と名前の由来

ロンドンのランドマークとして真っ先に名前が挙がる「ビッグベン(Big Ben)」。多くの旅行者が塔そのものをそう呼んでいますが、建築物としてのロンドン時計塔の正式名称は「エリザベスタワー(Elizabeth Tower)」です。

もともとは単に「クロックタワー(時計塔)」と呼ばれていましたが、2012年にエリザベス2世女王の即位60周年(ダイヤモンド・ジュビリー)を記念し、現在の名称へと正式に改められました。では、なぜ世界中で「ビッグベン」という呼び名が定着したのでしょうか。

ビッグベンとは本来、塔の最上部に設置された重さ約13.7トンの大時鐘(グレートベル)に付けられた愛称です。その名前の由来には2つの有力な説が存在します。

第1の説は、時計塔建設時の初代工事責任者であったベンジャミン・ホール卿(Sir Benjamin Hall)の名前にちなむというもの。彼は非常に大柄な体格をしていたことから議会内で「ビッグ・ベン」の愛称で親しまれており、彼が情熱を注いだ巨大な鐘にもその名がつけられたと言われています。

第2の説は、当時イギリスで絶大な人気を誇っていたヘビー級ボクシングチャンピオン、ベンジャミン・コーント(Benjamin Caunt)に由来するという説です。いずれの説にせよ、堂々たる巨鐘への親しみを込めた呼び名が、やがて塔全体を指す世界共通の代名詞へと発展していきました。

【歴史と構造】96メートルの巨塔に宿るネオ・ゴシック建築の美学

エリザベスタワーがそびえ立つ英国国会議事堂(ウェストミンスター宮殿)は、ユネスコ世界文化遺産にも登録されている壮大な建築群です。しかし、この壮麗な姿が生まれた背景には、1834年に起きた壊滅的な大火災がありました。

旧宮殿の大半が灰燼に帰したのち、国家の威信をかけた再建計画が始動。建築家チャールズ・バリーと、ゴシック装飾の天才オーガスタス・ピュージンの共同設計により、1859年に完成したのが現在の時計塔です。

時計塔の高さは96.3メートル(約316フィート)に達し、11階建てのビルに相当します。四方に配置された巨大な時計盤は直径約7メートルを誇り、分針の長さだけでも4.2メートルに及びます。文字盤には312枚の乳白ガラス(オパールガラス)がステンドグラスのように組み込まれており、夜間には内部からの明かりで美しく浮かび上がる構造です。

基礎部分から頂部まで精緻な彫刻が施されたネオ・ゴシック様式の外観は、重厚でありながら繊細な気品を漂わせ、テムズ川の景観と完璧な調和を生み出しています。

田中 結衣
Penulis

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。