2026年「金利ある世界」の残酷な真実――経済評論家・加谷珪一が解き明かす、日本経済の「延命措置」が終わる日
加 谷 珪 一氏がかつて著書で指摘した「安い日本」の警告は、2026年の今、より深刻なフェーズへと移行した。長年続いた超低金利政策の終焉は、一見すると「普通の国」への回帰に見えるが、その実態は容赦のない二極化の始まりに過ぎない。私たちは今、かつてない経済の地殻変動の渦中にいる。
日経平均株価の乱高下や円相場の揺らぎに一喜一憂する世論をよそに、冷徹なデータ分析で本質を突き刺す加 谷 珪 一氏の言説は、迷える個人投資家やビジネスパーソンにとって羅針盤のような役割を果たしている。彼が見据える、この国の「本当の危機」とはどこにあるのだろうか。
金利上昇が直撃する「変動金利世代」の悲鳴
ついに本格化した利上げ局面。長らく「金利ゼロ」のぬるま湯に浸かっていた日本の住宅ローン市場に、激震が走っている。特に30代から40代のファミリー層を直撃しているのが、変動金利の上昇だ。月々の返済額が数万円単位で跳ね上がる世帯が続出しており、家計の防衛策は限界に達しつつある。
これは単なる一時的なコスト増ではない。可処分所得が削られることで、国内の個人消費はさらに冷え込む悪循環が生まれる。低金利を前提に組まれた過大なローン設計が、いま多くの家庭のライフプランを根底から揺るがしているのだ。
「インフレ慣れ」の裏に隠された生活水準の地滑り的低下
「物価が上がるのは経済が活性化している証拠」という大本営発表を信じる者は、もはや誰もいない。スーパーの棚に並ぶ食品は小さくなり、価格は上がり続ける。いわゆる「シュリンクフレーション(実質値上げ)」は日常の風景となった。名目上の賃金が多少上がったところで、インフレ率を差し引いた実質賃金はマイナスから抜け出せない。
購買力の低下は、中間層の崩壊を意味する。かつて「一億総中流」を誇った日本社会は、物価上昇に耐えられる富裕層と、日々の食費すら切り詰めざるを得ない困窮層へと完全に分断されつつある。この格差は、もはや個人の努力だけで埋められるレベルを超えている。