小鹿野 町が、旅好きたちの間で静かなブームを呼んでいる。秩父盆地の西端に抱かれたこの山あいの地には、都会の騒々しさとは無縁の濃密な時間が流れている。歴史を感じさせる風情ある街並みを一歩進めば、出迎えてくれるのは昔ながらの温かい人情と、地域を盛り上げようとする試みの熱気だ。
現地に足を運ぶと、息をのむような山並みとともに、地域に根ざした独自の文化が大切に守られていることに気づかされる。話題の観光スポットが集まる小鹿野 町の情報は、大手予約サイトの「じゃらんnet」や県の観光ポータル「ちょこたび埼玉」でも注目度が高く、リピーターが後を絶たない。人を惹きつけてやまない理由を探るべく、現地を取材した。
巨大なフタが閉まらない!名物わらじカツ丼と知られざる穴場名店
この街を訪れて絶対に外せないのが、名物グルメとして全国に名を轟かせる「わらじカツ丼」だ。丼からはみ出すほど巨大な豚カツが2枚どんと鎮座する圧倒的な姿は、一度見たら忘れられない。甘辛い特製醤油タレにくぐらせたカツは、衣がサクサクで肉質は驚くほど柔らかい。
元祖として知られる有名店には連日行列ができるが、地元住民が口をそろえておすすめする隠れた穴場店も存在する。中心街から少し外れた路地裏にある老舗食堂では、出汁の効いた秘伝タレと出来立て熱々のカツが抜群の調和を見せていた。混雑を避けてゆっくり秘伝の味を堪能したいなら、開店直後の時間帯を狙うのが取材班イチオシの攻略法だ。
深田久弥も魅了された日本百名山・両神山の絶景登山ルート
町を象徴する自然のシンボルといえば、標高1,723メートルを誇る名峰「両神山」だ。かつて文人で山岳ライターの深田久弥が著書『日本百名山』の中でその力強い山容を絶賛したことで知られ、全国のハイカーから熱烈な支持を集めている。
鋸の歯のように鋭く切り立った岩嶺が連なる景観は実に神々しい。日向大谷からのメインルートは手軽な新緑のトレッキングから本格的な岩場登りまで楽しめ、山頂からの大パノラマは息をのむ美しさだ。四季折々の花々に包まれる春や、山全体が燃えるように色づく秋など、時期ごとに表情を変える豊かな自然が登山客を惹きつけて離さない。