ラクリマ kojiという一人のギタリストが奏でた音色は、いまも多くのロックファンの心を掴んで離さない。90年代後半、絢爛豪華なヴィジュアル系シーンの中で彗星のごとく頭角を現したLa'cryma Christi。そのサウンドの要であり、透き通るような美しい旋律を生み出し続けたギタリストKOJIの存在感は、没後もなお色褪せるどころか、その輝きを増している。
当時の音楽シーンは空前のバンドブームに湧いていたが、テクニカルな重厚さとポップな哀愁を高次元で融合させた彼らのアプローチは極めて異彩を放っていた。バンドマンやギターキッズの間で今なおラクリマ kojiのプレイがリスペクトをもって語り継がれている理由は、単なる技術の高さにとどまらない、聴き手の琴線に触れる圧倒的なメロディアスさにある。
ヴィジュアル系シーンを革新したKOJIの奇跡のギターワーク
90年代の日本の音楽産業において、ヴィジュアル系と呼ばれるジャンルは単なる装飾的な流行を超え、高度なテクニックと独自の世界観を誇る一大学派へと成長を遂げた。その第一線でシーンの可能性を広げたのがKOJIである。
彼のギタープレイにおける最大の魅力は、緻密に計算されたツインギターのハモりや、変拍子の上に乗る流麗なコードアレンジにある。ハードロックの骨太さをバックボーンに持ちながらも、西洋クラシックの要素を感じさせる繊細なフレーズ構築。スピード感あふれるフルピッキングから、ディレイを効かせた幻想的なアルペジオまで、彼が生み出すトーンは瞬時に楽曲の世界観を決定づけた。
名曲『未来航路』と金字塔『Sculpture of Time』に宿る美学
La'cryma Christiの代表曲『未来航路』を聴けば、KOJIの卓越したソングライティングセンスが瞬時に理解できるだろう。爽快でありながらどこか切なさを帯びたメロディラインと、サビへと向かう叙情的なギターのアプローチは、J-POP全盛期のお茶の間に強烈なインパクトを残した。
また、メジャーファーストアルバム『Sculpture of Time』は、日本のロック史に燦然と輝く傑作として知られている。プログレッシブ・ロック的な複雑なアンサンブルの中で、KOJIが弾くギターフレーズは常に主役級の存在感を主張していた。難解な楽曲展開をポップスとして成立させる巧みなバランス感覚こそ、彼の真骨頂であった。