ジミー 入 枝のソウルフルな歌声が、今再び世代を超えてリスナーの心を揺さぶっている。マイクの前に立ち、ひとたびドゥーワップの軽快なリズムを刻み始めれば、スタジオの雰囲気は一瞬にして1950〜60年代のオールディーズ・黄金期へとタイムスリップするかのようだ。地方からの情報発信でありながら、その洗練されたハーモニーと深い音楽的見識は、全国のリスナーや音楽評論家たちを長年にわたり魅了し続けている。
長年シーンの第一線でマイクを握り続けてきたジミー 入 枝だが、その探求心は衰えるどころか、年々新たな熱を帯びている。ただ懐かしい音をなぞるのではない。古き良きアメリカン・ポップスのエッセンスを自らの血肉とし、現代の感性へと昇華させるその情熱こそが、熱狂的なファンを引きつけて離さない最大の理由と言えるだろう。
独占インタビュー:ラジオ番組の裏側と未公開エピソード
MBC南日本放送の人気長寿番組『ジミー入枝のドゥーワップステーション』の放送終了直後、番組制作の裏側について本人に直接話を聞く機会を得た。ブースを出たばかりの彼は、マイクの前で見せる表情とはまた違う、職人のような鋭い眼光を見せる。
「ラジオは生ものだからね。台本通りに進むことなんて半分もないよ」と笑いながら明かしてくれた未公開エピソードには、彼の音楽に対する底知れぬ愛が溢れていた。ある日の生放送中、リスナーから届いた一通のリスエスト葉書をきっかけに、急拠予定していた選曲リストをすべて変更。スタジオに持ち込んでいた貴重な7インチシングルを自らレコードプレイヤーにセットし、即興でその曲の歴史的背景とコード進行の妙について20分間語り明かしたという。
「オンエアに乗らなかった未公開のスタジオ雑談こそ、実は一番濃い音楽論だったりするんだよ。ディレクターが頭を抱えている横で、僕はレコードの溝と対話しているような感覚さ」。電波に乗せる一曲一曲の選曲理由、アーティストへのリスペクト、そしてリスナーとの熱い対話。番組が長年愛される秘密は、こうした計算のない純粋な情熱にあった。
和製ドゥーワップの系譜:大瀧詠一と鈴木雅之が認めた唯一無二の才能
日本のポピュラー音楽史において、ドゥーワップというジャンルを深く根付かせた先達は決して多くない。その中でジミー入枝の存在が異彩を放つのは、日本の音楽界の巨星たちから絶大な信頼を寄せられてきたからだ。
かつてナイアガラ・サウンドの創始者である大瀧詠一は、彼のボーカルスタイルとコーラスワークの美しさを高く評価していた。また、「ラッツ&スター」のリーダーであり、日本のドゥーワップ界のキングである鈴木雅之からも、その類稀なるヴォーカル・センスとルーツ・ミュージックへの造詣の深さに熱いエールが送られている。
名門インディーズレーベルであるファイルレコードからリリースされた一連の作品群は、まさにその実力を証明するものだ。J-POPの文脈の中にアメリカン・ドゥーワップのマナーを緻密に織り込んだサウンドは、単なるカバーや物真似の域を遥かに超え、独自の「和製ドゥーワップ」という新境地を確立している。