椿本 チエイン 京田辺の広大な敷地に足を踏み入れると、整然と建ち並ぶ建屋の奥から、かすかな金属の駆動音が聞こえてくる。京都の穏やかな山並みを背に立つこの拠点は、世界の製造業を陰で支える巨大な心臓部だ。世界トップのシェアを誇る産業用チェーンをはじめ、高度な機械駆動部品がここで休むことなく産み出されている。
サプライチェーンの分断や地政学リスクが世界的に議論される中、椿本 チエイン 京田辺の生産基盤が果たす役割は一段と重みを増した。高度な自動化と匠の技が融合する現場では、単なる部品製造にとどまらない、次世代のモノづくり改革が着々と進行している。
世界シェア1位を誇るマザー工場!京田辺工場の圧倒的スケール
京都府京田辺市に位置する京田辺工場は、株式会社椿本チエインにおけるグローバル生産の要だ。東証プライム市場の上場企業として、同社は動力伝動システム事業を軸に確固たる経営基盤を築いてきた。なかでも産業用機械・FA業界に向けた駆動コンポーネントの供給能力において、他の追随を許さない。
敷地面積は約26万平方メートル。東京ドーム約5.5個分に相当する広大なキャンパスには、熱処理から精密加工、組立、出荷に至るすべてのプロセスが一元管理されている。国内外に展開する多くの生産拠点にとって、ここは技術開発と標準化の総本山、いわゆる「マザー工場」の位置づけだ。
独占取材:次世代生産ラインとスマートファクトリー化プロジェクトの全貌
今回、本誌は特別に工場内部の取材許可を得た。一歩足を踏み入れて驚かされるのは、無人搬送車(AGV)が縦横無尽に走り回る超省人化ラインだ。同社が推進する「スマートファクトリー化プロジェクト」の真価が、まさにこの場所で発揮されている。
従来は熟練工の視覚や感覚に頼っていた微細な表面欠陥の検査には、高精度画像認識AIとIoTセンサーが導入された。ミリメートル以下の誤差も逃さない監視体制が24時間稼働する。現場の技術者は語る。「単に自動化するだけではない。ライン上のあらゆるデータをリアルタイムで収集・解析し、設備トラブルの予兆を検知する予防保全システムまで稼働させている」。エネルギー消費量を従来比で大幅に削減した環境配慮型の最新設備も導入され、サステナビリティと高生産性の両立を実証している。