スペック さとり ますという印象的なセリフと風変わりなダンスは、初放送から年月が経過した今なお、エンタメファンの心を捉えて離さない。TBSテレビが誇る大ヒット作『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』において、異彩を放つSPEC(超能力)所持者として登場したのが占い師の星野サトリだ。彼女が繰り出す独特の儀式は、当時の日本のテレビドラマ業界に強烈なインパクトを与えた。
当務中の警察官や型破りな捜査官を演じる戸田恵梨香らのシリアスな演技合戦の中で、真野恵里菜が演じたサトリのポップでどこか不気味なキャラクター性は、作品に絶妙なスパイスを加えた。多くの視聴者の記憶に焼き付いているスペック さとり ますという決めゼリフと動作の裏には、演出家・堤幸彦が張り巡らした深い背景と裏設定が隠されている。
「サトリます」の真相と心を読む能力に隠された秘密
「サトリの手に触れると、人の心が読めちゃうの」——可愛らしい笑顔で語られる能力の真相は、まさに驚愕の一言に尽きる。彼女の持つ能力は、対象人物の思考や記憶をリアルタイムで読み取る心理感応能力だ。街頭での手相占い師という世仮の姿を使いながら、影では国家を揺るがす闇の事件に関わっていた。
一見すると無敵に思えるこの能力だが、使用時には極めて過酷な生理的負担を伴う。「サトリます」と叫んで踊る奇妙なダンスは、実は高負荷にかかる脳の暴走を抑え、精神の集中度を極限まで高めるための精神的スイッチとして機能していたのだ。
真野恵里菜と堤幸彦監督が生み出した異色のキャラクター像
元ハロー!プロジェクトのアイドルとして高い人気を誇っていた真野恵里菜を、この異端の能力者役に抜擢した堤幸彦監督の采配は見事というほかない。可愛らしさと狂気が同居する複雑な役柄を、彼女は卓越した表現力で演じきってみせた。
堤監督特有のシュールなユーモアとシリアスなサスペンスの融合は、サトリというキャラクターにおいて最高潮に達する。ロリィタ風の衣装に身を包み、リズムに乗って踊る姿は一見コメディのようでありながら、直後に訪れる冷酷な展開とのギャップが視聴者に強烈なトラウマとカタルシスを同時に与えた。