スクリーンの鼓動を創る音響効果技師・清水道が語る音作りの真髄

スクリーンの鼓動を創る音響効果技師・清水道が語る音作りの真髄

清水 道は、日本の映像美学を極限まで引き上げる音響効果技師として、長年にわたりスクリーン裏で孤高の職人技を振るってきた。映画館の暗闇で観客の皮膚を粟立たせる息遣いや、足音ひとつに宿る感情の揺らぎ。彼の手がける音は、単なる背景音の枠を超え、物語そのものを推進する目に見えない主役だ。

東京郊外の静けさに包まれたスタジオで、ベテラン技師である清水 道が静かにミキシングコンソールを見つめている。日本映画音響協会の役員も務める彼は、映画制作業界の最前線でデジタルテクノロジーの進化とアナログな音作りの融合に挑み続けてきた。今回、本誌の独占取材に対し、これまで明かされることのなかった制作現場の未公開エピソードと音響設計の奥義を余すところなく語ってくれた。

東映の名作からグローバル作品へ:現場で培われた音づくりの原点

彼のキャリアの原点は、伝統的な邦画の制作スタジオにある。かつて東映の撮影所でフィルムのコマ数に合わせた泥臭いアフレコや効果音の仕込みを重ねた経験が、彼の圧倒的な音響感覚を養った。当時の現場は、身近な日用品を使ってどんな環境音も再現するアイデアの宝庫だったという。

「紙を破る音ひとつとっても、湿気や破るスピードでキャラクターの心情が変わる。道具の性能ではなく、音の質感をどう捉えるかがすべての始まりだった」と彼は回想する。この下積みが、現在のデジタル環境においてもブレない強固な軸となっている。

独占取材:劇伴・音響演出が織りなす「沈黙」と「ノイズ」の緻密な計算

制作現場における音作りの神髄は、劇伴・音響演出の調和にある。音楽と効果音が衝突する場面では、どちらを優先すべきかの絶妙な引き算が求められる。清水道の独占取材記事として本誌が迫ったのは、その緻密な音響設計の裏側だ。

彼が明かした秘話によれば、緊迫した室内劇においてあえて劇伴(BGM)をすべて削り、わずかな部屋の鳴り(ルームトーン)と時計の秒針音だけを強調する手法をとったという。「無音に近い静寂の中に微細なノイズを置くことで、観客は息をのむ。音が聞こえない瞬間こそ、実は最も計算された音響演出なんだ」と笑う。この音の空間デザインこそが、作品全体を支配する空気感を生み出している。

中村 さくら
Penulis

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。