うさぎの島・大久野島の現在|激減の真相と後悔しない旅の完全手引き

うさぎの島・大久野島の現在|激減の真相と後悔しない旅の完全手引き

瀬戸内海の穏やかな海に浮かぶ広島県竹原市・大久野島。国内外から「うさぎの島」として親しまれ、無数のアナウサギたちが駆け寄ってくる楽園として一世を風靡しました。しかし、ここ数年SNSや旅行コミュニティでは「ウサギが激減して姿を消したのではないか」「行っても楽しめないのでは」といった不安の声が広がっています。

かつて900羽以上まで膨れ上がった生息数は、環境の変化や観光サイクルの推移を経てどのように変化したのか。本稿では、現地での観察調査や環境省・関係機関の公表データをもとに、うさぎの島の現在の状況と個体数変動の真相を明らかにします。さらに、忠海港からのフェリーアクセスや島内で徹底すべき餌やりルール、歴史を物語る毒ガス資料館の背景まで、現地取材に基づいた実用的な知見を網羅してお届けします。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 要点1:ウサギ激減の背景には、コロナ禍による給餌減少と過剰繁殖状態から自然の適正密度(島内の適正収容量)への是正がある。
  • 要点2:島内でのウサギ用ペレット販売は原則ないため、本土側の忠海港での事前購入と適切な持ち物準備が必須である。
  • 要点3:ただ愛でるだけでなく、「抱っこ禁止」「残餌の持ち帰り」「毒ガス工場の歴史学習」など観光倫理を持った訪問が求められる。

【真相究明】うさぎの島で個体数が激減した背景と大久野島の現在の状況

大久野島のウサギをめぐり、ネット上では極端な悲観論が飛び交う時期がありました。しかし、うさぎの島の激減理由を生態学的な見地から紐解くと、人為的な過密状態から本来の生息バランスへと回帰したプロセスが見えてきます。

環境省や地元自治体の調査記録によると、ピーク時の2017年から2018年頃には約900羽から1,000羽ものアナウサギが島内に密集していました。観光客が持ち込む大量の餌によって過剰に繁殖した結果、縄張り争いや感染症の蔓延、栄養過多による体調不良といった弊害が表面化していた経緯があります。その後、感染症の流行や来島者数の激減に伴う給餌量の急減衰によって淘汰が進み、一時は300羽前後にまで落ち込みました。

2026年時点におけるうさぎの島の現在の状況は、約400羽前後の健全な個体群で安定しています。以前のような「歩く足元を数十羽が埋め尽くす」という異常な光景こそ落ち着いたものの、休暇村大久野島の前庭や木陰、ビジターセンター周辺では、毛並みが良く健康的なウサギたちがのびのびと暮らす姿を確認できます。過剰な給餌依存から脱却し、本来の野生に近い適正密度を保っているのが現在のリアルな姿です。

「地図から消された島」の記憶|大久野島毒ガス資料館が語るもう一つの顔

愛らしいウサギたちと触れ合う前に、この島が歩んできた重層的な歴史を知ることは、旅の解像度を大きく高めます。大久野島は戦時中、旧日本軍によって化学兵器(毒ガス)が秘密裏に製造されていた場所であり、防諜上の理由から「地図から消された島」と呼ばれていました。

島内にある大久野島毒ガス資料館(入館料:大人150円)には、過酷な環境下で製造に従事した工員たちの防護服や当時の製造器具、被害の惨状を伝える貴重な資料が展示されています。島内に点在する発電所跡や毒ガス貯蔵庫跡の遺構は、独特の静寂と歴史の重みを今に伝えています。

巷では「現在のウサギは当時の実験動物の生き残りではないか」という噂が散見されますが、これは歴史的事実と異なります。戦後に毒ガス工場が解体された際、実験用モルモットやウサギはすべて殺処分されており、現在の個体群は1971年に地元小学校で飼育されていた8羽が島内に放たれ、天敵のいない環境下で野生化したものです。平和なリゾートの風景と戦争遺跡のコントラストは、訪問者に命と平和の尊さを深く問いかけています。

山本 拓海
Penulis

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。