飛騨 萩原 駅の改札を抜けると、ふわりと漂う酒粕の甘い香りと、澄み切った清流の風が頬をかすめる。2026年、世界的なオーバーツーリズムの波を避けるように、多くの旅行者が高山本線のこの小さな駅へと足を踏み入れ始めている。日本有数の温泉地・下呂から特急でわずかひと駅という絶妙なロケーションにありながら、ここには観光地化されすぎていない「素顔の飛騨」が脈打っている。
これまでは主に地元住民の生活の足として使われてきたが、近年では飛騨 萩原 駅を拠点としたスローな散策ツアーや、歴史ある酒蔵を活かした文化体験がメディアで大きな注目を集めるようになった。単なる通過点ではなく、「目的地」へと変貌を遂げたこの街の熱気は、今や遠く海外からの旅行者をも魅了してやまない。
1. 有名温泉街の「その先」へ。知られざる拠点としてのポテンシャル
下呂温泉の喧騒から少し離れた飛騨萩原地区は、飛騨川の豊かな水源と肥沃な土地に恵まれた隠れた名所だ。かつては飛騨街道の宿場町として栄え、今もその面影が街の随所に残る。大自然に囲まれた静寂と、人のぬくもりが同居する空間は、都会の慌ただしい日常に疲れた人々に強烈な癒やしを与えている。
2. 創業300年の息吹。天領酒造と巡るクラフト日本酒の最前線
この街を語る上で外せないのが、老舗酒蔵の存在だ。江戸時代から続く「天領酒造」は、飛騨の清らかな伏流水と地元の酒米にこだわり、伝統を守りながらも時代に応じた進化を遂げてきた。近年では蔵見学だけでなく、若い世代に向けたテイスティングイベントや限定アセンブラージュの販売も実施。日本酒ファンにとっては、まさに聖地とも言える場所になっている。