焼鳥 天翔のカウンターに腰を下ろすと、即座に静かな緊張感と香ばしい炭の薫気に包まれる。焼き台を前に凛とした立ち姿を見せる店主。うちわひと振りに込められた集中力は、まさに職人芸そのものだ。パチパチとはじける炭の音とともに流れる豊かな時間は、訪れる者の期待を否応なく高めていく。
激変を遂げる国内の外食・飲食産業にあって、単に腹を満たすだけの外食から「唯一無二の体験」を求める傾向は年々強まっている。その最高峰として食通たちの口コミで噂が広がり、瞬く間に屈指の焼鳥 天翔は予約困難店としての地位を確立した。伝統的な和の美学と現代的な洗練が同居するこの空間で提供されるのは、単なる焼き鳥ではない。一串に命を吹き込む芸術作品だ。
独占取材:『焼鳥 天翔』の焼き鳥職人が挑む炭火の芸術
「火と対話する時間がすべてです」――店主である焼き鳥職人は、熱気に満ちた煙の向こう側で静かに語る。熱源には最高峰として知られる最高級の紀州備長炭を惜しみなく使用。千度近くに達する強火の遠火で、肉の表面を瞬時に焼き固め、内部に旨味の肉汁を閉じ込める技術は圧巻だ。
火入れのタイミングはほんの数秒のズレも許されない。部位ごとの肉質や水分の含み具合を見極め、炭の配置や空気の通り道を微調整する。長年の経験と研ぎ澄まされた直感だけが成せる技だ。焼き上がった一串を口に含んだ瞬間、香ばしい皮目からあふれ出す圧倒的なジューシーさに、思わず言葉を失う。
比内地鶏と紀州備長炭が織りなす極上コースの全貌
店の真骨頂とも言えるコース料理で主役を張るのは、日本三大地鶏の一つとして名高い比内地鶏だ。産地から毎日直送されるフレッシュな鶏肉は、しっかりとした噛みごたえと濃密な旨味、そして甘みのある脂が特徴。この極上食材を、紀州備長炭の力強い火で丁寧に焼き上げていく。
コースは旬の厳選野菜や滋味深いスープ、趣向を凝らした前菜で構成され、メリハリのある展開で客を魅了する。抱き身(胸肉)、さび焼き、手羽先、そして稀少部位の仕込みに至るまで、部位ごとの個性を極限まで引き出す仕掛けが施されている。日本料理・焼鳥の概念を覆す洗練された一皿一皿は、食通たちの舌を何度でも唸らせてきた。