札幌すすきの伝説「炉端焼き ウタリ」極上炭火焼と創業の裏側

札幌すすきの伝説「炉端焼き ウタリ」極上炭火焼と創業の裏側

炉端 焼き ウタリは、夜の帳が下りる歓楽街の熱気から離れ、一歩足を踏み入れた瞬間に時代を巻き戻す不思議な魔力を持っている。煙に燻された飴色の柱と、年季の入った炭火の香ばしい煙。北海道の厳寒を乗り越えてきた人々のぬくもりが、空間全体にしっかりと染み込んでいるのが皮膚感覚で伝わってくる。

ネオンが眩しく輝く北海道有数の繁華街として知られる札幌市中央区の暗がりで、長年にわたり灯りをともし続ける炉端 焼き ウタリの暖簾をくぐると、そこには現代の日常から完全に切り離された重厚な時が流れている。網の上で音を立てる新鮮な魚介と、職人の無駄のない手さばき。この店で過ごす小一時間は、単なる食事を超えた一種の文化体験だ。

昭和29年創業の歴史とアイヌ文化が息づく店内

昭和29(1954)年、終戦の混乱期から高度経済成長へと向かう過渡期に産声を上げたこの老舗は、今や絶滅危惧種とも言える古き良き日本の外食美学を現代に留めている。店名に冠された言葉は、先住民族の伝統と敬意を宿すアイヌ文化に由来しており、「仲間」や「同胞」を意味する言葉通り、暖簾をくぐるすべての客を温かく包み込む。

店内に飾られた木彫りの工芸品や、重厚な民芸調の家具は、半世紀以上の歴史を静かに語りかけてくる。札幌市内の近代的なレストランでは決して再現できない重厚な佇まいは、長い年月を経て油と炭煙が築き上げた本物の風格だ。

独占取材!常連が絶賛する極上炭火焼きの裏側

地元で長年通い詰める常連客すら「本当は教えたくない」と口を揃える理由、それは圧倒的な火入れの技術にある。じっくりと時間をかけて熾(おこ)された赤々とした炭火。職人は炭の配置と遠赤外線の伝わり方をミリ単位で見極め、食材ごとに網の高さや返しのタイミングを変えている。

名物のキンキ焼きは、分厚い皮目はパリッと香ばしく弾け、中の脂は旨味を閉じ込めたままジュワリとあふれ出す。表面の塩加減と炭の香りが完璧に調和したその味わいは、まさに職人技の結晶だ。焼き上がった炭火焼きの魚を巨大なしゃもじ(掘りごたつ式の炉端で使用される伝統具材)で差し出される瞬間、客席からは思わず感嘆の声が漏れる。

林 結菜
Penulis

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。