飛騨 高山 レトロ ミュージアムが今、国内外の旅行者の間で空前のブームを巻き起こしている。江戸時代の面影を残す岐阜県高山市の「古い町並み」から目と鼻の先にあるこのスポット。一歩足を踏み入れれば、そこには昭和30年代から50年代の日本がそのまま息づいており、連日多くの人々で活気にあふれている。
静寂と情緒を楽しむ歴史散策の途中で、SNSのリアルな動画投稿をきっかけに知った飛騨 高山 レトロ ミュージアムへ吸い寄せられるように足を踏み入れるZ世代や海外観光客が後を絶たない。ガラス越しに鑑賞するだけの厳粛な美術館とは一線を画し、「実際に遊んで、食べて、触れ合える」体感型の展示空間が、世代を超えた驚きと歓声を呼び込んでいる。
給食からゲーム機まで!見るだけじゃない「五感で触れる昭和」の仕掛け
館内に足を踏み入れると、瞬時にタイムトラベルしたかのような錯覚に陥る。昭和の駄菓子屋、床屋、パチンコ店、さらには当時の木造校舎を再現した教室まで、細部に至る意匠と再現度がすさまじい。
圧巻なのは、展示物との驚異的な近さだ。棚に並んだブリキのおもちゃや生活雑貨、セピア色のポスターは見る者の郷愁を誘う。しかし、来館者を最も熱狂させているのは、実際に手にとって遊べるゲームコーナーである。10円玉を入れて動かすエレメカやファミコン、卓上アーケードゲームが今も現役で稼働しており、子供以上に大人が夢中になってレバーを握る光景が日常茶飯事となっている。
さらに名物となっているのが、あの懐かしい「学校給食」の体験だ。アルミの食器に盛られた揚げパンやソフト麺、ミルメーク入りの牛乳。かつて教室で味わったあの味が、大人には甘酸っぱい思い出を呼び覚まし、若い世代には新鮮な食文化として受け入れられている。
Z世代とインバウンドが熱視線、2026年に巻き起こる「エモい体験」旋風
なぜ2026年の今、昭和レトロがここまで人々を惹きつけるのか。現地で取材を進めると、デジタルネイティブ世代特有の「アナログへの憧れ」と、外国人観光客の日本文化に対する深い好奇心が交差していた。
画面をタップするだけで何でも完結する時代だからこそ、カチャカチャと音を立てるダイヤル式電話や、ガチャリとレバーを引くパチンコ台の物理的な感触が新鮮に映る。「スマホの中にはない手触りとノイズが、逆に新しくて可愛い」と語る女子大学生の笑顔が印象的だった。
また、欧米やアジアからの旅行者にとっても、昭和のポップカルチャーは日本アニメやゲームの原点として大人気だ。ネオン看板やヴィンテージ感漂う町並みは、どこを切り取っても映える撮影スポット。SNSに投稿されたショート動画が世界中で拡散され、国境を超えたホットスポットへと進化を遂げている。