養老 ランドは、元号が令和となって久しい現代においても、まるで昭和時代へとタイムスリップしたかのような独特の空気を纏い続けている老舗テーマパークだ。最先端のCG技術やAI体験が日常に溶け込んだ2026年現在、あえてアナログな温もりやノスタルジーを求める人々の視線が、岐阜県養老町にあるこの場所に熱く注がれている。
全国各地で老朽化に伴う伝統的施設の閉鎖が相次ぐ中、養老 ランドが幅広い層から支持を獲得し続けている背景には何があるのか。現地を歩き、来園者のリアルな声に耳を傾けながら、その知られざる魅力と独自の生き残り戦略を追った。
なぜいま大注目?SNSで爆発する昭和レトロ遊園地の熱狂
どこか懐かしく、どこか愛くるしい雰囲気を醸し出す園内。かつて「B級スポット」という言葉で一括りにされていたような空間が、いまや若い世代の心をとらえて離さない。
火付け役となったのは、YouTubeやInstagramをはじめとするSNSでのショート動画や写真の投稿だ。鮮やかな原色で彩られた懐かしいデザインの遊具、カセットテープのメロディが流れるようなノスタルジックな景観は、デジタルネイティブな世代にとって新鮮なフォトスポットとして映っている。実際に足を運ぶと、一眼レフカメラやスマートフォンを手にした若者たちが、思い思いの角度でシャッターを切る姿が目立つ。
名匠・荒川修作の『養老天命反転地』やアニメ聖地との相乗効果
この地域全体の観光動態を見渡すと、単体の施設にとどまらないエリア全体の回遊性が大きな強みになっていることが分かる。目と鼻の先には、世界的アーティストである荒川修作とそのパートナー、マドリン・ギンズが手掛けたアートプロジェクト「養老天命反転地」が隣接しているのだ。
不思議な平衡感覚を試される現代アートの聖地を訪れた旅行者が、そのまま昭和の風情が残る園内へと足を延ばす観光ルートが完全に定着している。さらに、大ヒット映画『聲の形』の作中舞台やモデルとして描かれた背景もあり、アニメファンによる「聖地巡礼」の足も途絶えることがない。歴史的観光資源と現代カルチャーが重なり合う稀有なロケーションが、独自の客層を引き寄せている。