西 や 小樽の観光地質図が、いま急速に塗り替えられつつある。2026年、北海道新幹線の札幌延伸を直前に控え、これまでニセコ一強とされてきた道央西部の経済圏に、かつてない質の変化が訪れた。単なる「雪景色を見に来る大衆観光」の時代は完全に終わった。歴史的建造物が並ぶ小樽の港町と、その西側に位置する余市や積丹といった食と自然の宝庫が手を携え、まったく新しいハイエンドな体験型エリアへと変貌を遂げているのだ。
地元経済界が特に注視しているのは、世界中から集まる富裕層旅行者の流動だ。急激な価格高騰を見せるニセコエリアから目と鼻の先にある西 や 小樽の地域全体へと、長期滞在型のゲストが続々と流れてきている。伝統的な醸造文化や日本海の絶品グルメ、そしてどこか懐かしいノスタルジックな街並み。それらが融合した独自の価値が、上質な時間を求める大人の旅人に強く刺さっている。
ニセコ「過熱」の余波。なぜ今、西エリアと小樽に投資家が群がるのか
不動産開発の風向きは明らかに変わった。ニセコ地区における地価の高騰と開発の飽和感に伴い、大手デベロッパーや外資系ファンドの視線は小樽市街地や余市町へと注がれている。かつて金融街として栄えた小樽の歴史的建造物を現代的なデザインホテルへと改装するプロジェクトが相次ぎ、街の景観を一変させつつある。
「単に部屋を売るのではなく、歴史という文化資本を売る」。現地で古民家ホテルを手がける経営者はそう語る。小樽の歴史的な石造倉庫や明治期の木造建築は、複製不可能な貴重なリソースだ。過度な近代化を避けつつ、世界水準の快適性をプラスする絶妙なリノベーションが、海外投資家からも高い評価を受けている。
ワインとウイスキーがつなぐストーリー。余市から小樽へと続く「味覚の聖地」の進化
食のテーマパークとしての顔も忘れてはならない。西エリアの余市町や仁木町は、日本屈指の上質なヴィンヤード(葡萄畑)が集積する地として世界的な知名度を獲得した。自然派ワインの醸造家たちが手掛ける逸品は、リリースと同時に世界中で争奪戦となるほどの人気ぶりだ。
このアグリツーリズムの波は、車で約30分の小樽市内にあるレストランやバルにも大きな恩恵をもたらしている。昼間は余市のワイナリーや蒸溜所を巡り、夜は小樽の鮨屋やビストロで地元のワインと日本海の新鮮な海の幸を味わう。この黄金の周遊ルートが確立されたことで、地域の滞留時間と観光消費額は過去最高を更新し続けている。