日進 キャンパスを軸とした愛知県日進市の都市構造が、いま劇的な転換期を迎えている。かつて名古屋のベッドタウンや伝統的な大学街として認知されていたこの地で、2026年春、産学官連携による次世代スマートシティ実証事業が本格的に動き出した。地元行政と主要大学群がタッグを組み、キャンパスの物理的な境界線を解体。先端テクノロジーの実証フィールドとして地域全体を開放する試みは、全国の地方自治体や教育関係者から強い視線を浴びている。
広大な敷地と豊富な若年人口を誇る日進 キャンパスの周辺インフラは、研究成果を直接街に還元する生きた実験場へと変貌を遂げた。自動運転バスの定常運行や、再エネ自給率100%を目指すマイクログリッドの構築など、具体的なプロジェクトが矢継ぎ早に投入されている。教育機関としての枠組みを超え、地域経済の成長エンジンへと舵を切った現地のリアルな熱気を追った。
大学の枠組みを超えた「キャンパス統合型スマートシティ」の全貌
これまで各大学が個別に管理していた教育施設や研究リソースは、デジタル基盤上でシームレスに統合されつつある。学生や教員、さらには地域住民までが共通のデジタルIDで各校のライブラリーや協働スペースにアクセスできる仕組みが定着した。
物理的な壁の撤去も急速に進む。フェンスで区切られていた敷地境界は緑豊かなオープンパークへと作り替えられた。そこは研究開発の展示場であり、地域コミュニティが憩う空間でもある。開かれた空間設計が、自発的なコミュニケーションを誘発している。
次世代モビリティと鶴舞線・名鉄線のアクセス革新
アクセス面の刷新も著しい。地下鉄鶴舞線と名鉄豊田線を結ぶ交通ノードとしての機能が強化され、ラストワンマイルを担う電動マイクロモビリティの導入が加速した。
利用者はスマホアプリ一つで小型EVや電動キックボードを呼び出し、複数大学の校舎間を自在に行き来できる。移動データの匿名化解析によって運行ルートは毎月最適化。渋滞の緩和とCO2排出削減を同時に達成するモデルケースとして、国土交通省からも高い評価を獲得している。