静岡 市 産学 交流 センター(愛称:B-nest/ビネスト)の現場には、独特の熱量が満ちている。JR静岡駅北口から目と鼻の先にある複合ビル「ペガサート」の6階・7階へ足を踏み入れると、ガラス張りのミーティングルームでノートPCを開き、熱っぽく事業プランを語り合う若手起業家の姿が目に入る。デスクの端には付箋が何枚も貼られ、壁のホワイトボードには複雑なビジネスモデルの図が描かれていた。公的なビジネス支援施設に対して抱きがちな「静かで堅苦しい行政の窓口」という固定観念は、一瞬で吹き飛ぶ。
運営の舵を取る公益財団法人静岡市産業振興財団のフロアでは、地場製造業の経営者と大学の研究者が膝を突き合わせる光景も日常茶飯事だ。商人の町として長い歴史を持つ駿河の地で、新たな挑戦者のアイデアを具現化させる静岡 市 産学 交流 センターの役割は、今や地域の未来を左右するほど大きくなっている。単なるスペース提供にとどまらない、この熱気あふれる現場の裏側に迫った。
JR静岡駅直結のイノベーション拠点「ペガサート」に潜入
ペガサートの専用エレベーターを上がると、開放感のあるプレゼンテーションエリアと、防音対策が施された打ち合わせスペースが広がる。アクセス性の高さは、ビジネスにおいて決定的な武器だ。新幹線を降りて徒歩わずか数分。東京や名古屋からのアクセスも容易なこの立地が、外部人材や投資家を呼び込む強力な磁石となっている。
館内を歩くと、コワーキングスペースや創業準備室、さらには先端機器を備えた実験支援コーナーまで備わっていることに驚かされる。ここで生まれた会話から、思いがけない業務提携や製品開発のアイデアが芽を出すことも少なくない。ハード面の利便性と、偶然の出会いを誘発するソフト面の仕掛け。両者が高度に融合した空間として機能している。
難波喬司市長が掲げる地方創生・起業支援の最前線
「静岡市を、挑戦する人間が最も集まる都市にする」――。難波喬司市長が打ち出す経済施策の主軸には、常にスタートアップの育成と地場産業の構造転換がある。人口減少や若年層の流出という地方特有の問題に対し、行政主導の従来型補助金ばら撒きではなく、民間の活力と学術知をかけ合わせる持続可能なエコシステムづくりを目指す。
その中核をなすのが、地方創生・起業支援を加速させる具体的な施策群だ。静岡大学をはじめとする高等教育機関の最先端研究成果を社会実装へと導くパイプラインが構築されつつある。市トップの明確なコミットメントのもと、現場の支援体制はかつてないスピード感で動き始めている。