伝統の駿馬たちが魅せた新時代――明治大学馬術部、全日本連覇の裏に隠された「科学と対話」のハイブリッド戦略
明治 大学 馬術 部が、2026年の全日本学生馬術選手権大会で前人未到の連覇を達成した。東京・府中市の緑豊かな拠点を舞台に、学生たちと馬が紡いできた泥臭くも美しいストーリーが、今、日本のスポーツ界で大きな注目を集めている。単なる「部活動」の枠を超え、人馬一体の極限に挑む彼らの強さはどこから来るのだろうか。
近年、大学スポーツにおける動物福祉(アニマルウェルフェア)への意識が高まる中、明治 大学 馬術 部が実践する「馬ファースト」の管理体制は他校の模範となっている。単に技術を競うだけでなく、馬の精神状態や健康状態をデータ化し、日々のトレーニングにフィードバックする先進的な試みが実を結んだ形だ。
伝統と革新が交差する府中グラウンドの日常
朝靄が立ち込める午前5時。まだ街が眠りの中にいる頃、府中の馬場には乾いた蹄音が響き渡る。選手たちの朝は早い。まずは馬房の掃除から始まり、馬たちの体温測定、脚元のチェック、そして念入りなブラッシングが行われる。
明治大学の馬術部は大正時代に産声を上げた。100年を超える歴史の重みは、部室に飾られた数々のトロフィーが物語っている。しかし、彼らが守っているのは古い慣習だけではない。厩舎の随所には最新の環境センサーが設置され、温度や湿度が馬にとって最適に保たれている。伝統的な職人技とも言える馬との対話に、現代のテクノロジーが静かに溶け込んでいた。
2026年シーズンを制した「データサイエンス」と「対話」
今年のインカレ制覇の原動力となったのが、新たに導入されたウェアラブルデバイスだ。馬の心拍数や歩法(歩き方や走り方のリズム)をリアルタイムで計測し、どのタイミングで馬がストレスを感じているかを可視化する。これにより、オーバートレーニングを防ぎ、常にベストなコンディションで試合に臨むことが可能になった。
「データは嘘をつきません。でも、データだけで馬が飛んでくれるわけではないんです」と、ある4年生の部員は語る。数値化された客観的データと、鞍上で感じるわずかな筋肉の緊張。その両方をすり合わせる作業こそが、現代の彼らの強みなのだ。